脱R論

一般人の一般人による一般人のためのゆるくテキトーな音楽ブログ。ロックから脱却出来るその日まで音楽ネタを中心に書き綴ります。

【Album】U2 / SONGS OF EXPERIENCE [2017]


経験がモノを言う。

SONGS OF EXPERIENCE [CD] SONGS OF EXPERIENCE [CD]
U2

曲名リスト
1. Love Is All We Have Left
2. Lights of Home
3. You’re The Best Thing About Me
4. Get out of Your Own Way
5. American Soul
6. Summer of love
7. Red Flag Day
8. The Showman (Little More Better)
9. The Little Things That Give You Away
10. Landlady
11. The Blackout
12. Love Is Bigger Than Anything in Its Way
13. 13 (There is a Light)
14. Ordinary Love (Extraordinary Mix)
15. Book Of Your Heart
16. Lights of Home (St Peter's String Version)
17. You’re The Best Thing About Me (U2 vs Kygo)

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日本における一般的なU2の認識ってどんなもんなんだろうか。

ノーベル平和賞候補?社会派バンド?意識高い系?
メンバーに渡部陽一っぽい人がいるバンド?
あ、パラダイス文書の件は責めないであげて。釈明してるから。

そんなわけで前々から言ってるけど日本におけるU2って、
なかなかイメージが定まりにくいポジションなんだと思う。
そもそも世界的には超ビッグなんだけどあまり日本での知名度が無い。

若い人にはむしろ「勝手にiTunesに曲が入りやがったバンド」として
ウザイおっさんバンド扱いされてそう。あの件も許してあげて。
ボノもショック受けてたから。色んな人に聴いて欲しかったらしいよ。

そんな若者から老害認定されたんじゃないかという
ハラハラな珍事件となった前作『Songs of Innocence』から3年、
そのアルバムと対になるとされる今回のアルバム
『Songs of Experience』が昨年末にリリースされた。


各メディアが発表する2017年のベストアルバムランキングでも
当然のように軒並み高評価。U2の名前を冠していればもう高評価。
ロック勢が不振な昨今でも絶対的地位に君臨するのがU2なのである。

そしてこれでもうU2のアルバムは14作目となるそうだ。
80年代からずっと世界のトップを走り続けてるんだから恐ろしいよね。
俺も大好きなのでアルバムは殆ど集めているよ。
お陰様で意識低い界の意識高い系くらいにはなれた気がしている。

さて今回のアルバムは前作『Songs of Innocence』のリリース時に
既に構想自体はあった模様で、もう大分前から次回作は
この『Songs of Experience』のタイトルだけは情報が流れていた。

そして実際の収録曲の中にも何曲か
前作『Songs of Innocence』からの引用があったので、
確かに前作と表裏一体的になっているアルバムだという事が伺える。


じゃあ前作と何が違うんだ??

前作は「Songs of Innocence」つまりは「無邪気さからの歌」で、
今作は「Songs of Experience」つまりは「経験からの歌」である。

なるほど、前作は1曲目から衝動的に鳴り響くギターから切り込む
まさに感情の赴くままに生み出されたような荒々しい作風だった。

だが今回は1曲目『Love Is All We Have Left』からかなり大人しい。
どの曲もU2らしいあのバンドサウンドはしっかりと鳴ってはいるけど、
繊細に作りこまれた職人芸のような趣を感じる作りだ。

これが「経験からの音楽」か!

カッコいいロックかと問われればそうではない。
しかし限りなく洗練され、ろ過され、磨き上げられた楽曲群。
今作は美しいという表現が良く似合うと思う。

特に3曲目~5曲目の流れは最高過ぎて鳥肌ものですよ。

この3曲目の『You’re The Best Thing About Me』や
4曲目の『Get Out Of Your Own Way』辺りは
これまでの”U2らしさ”が存分に発揮された名曲なんじゃないかな。

そして5曲目の『American Soul』!この曲への入り方がたまらん!
穏やかな流れが一転して緊迫感のある展開へと進む。


タイトルからして今のアメリカの状況を歌った曲という匂いがプンプン。
「君はロックンロールだ、ここでアメリカンソウルを求めるんだ」
アメリカで大人気のラッパー、ケンドリックラマーも参加したこの曲は、
今作の中では珍しい攻めの1曲だ。力強くてカッコいい。

でもこの曲ってこのアルバムの中でもとても重要な曲だと思うの。

今回のアルバムのコンセプト自体は前作から既にあったらしいけど、
前作のリリースからこの3年の間に世界は激動したわけですよ。
英国はEUから離脱を表明し、アメリカではトランプ政権が誕生。
世界の分断が進み始めた間にU2にも歌いたい事は増えたはずである。

だから3年前の前作と対になると言いつつも、
このアルバムには間違いなく「今」もあるのだ。
この3年間の間に我々が「経験したこと」も含めての
『Songs of Experience』なのだ!お、俺ってばいい事言うじゃ~ん。


そんな気合の入った今作だがジャケットは前作同様モノクロの写真。
女性が小島慶子に見えたのは俺だけじゃないはず。
ちなみにU2のメンバーの親族らしいですよ。
つまりはシンプルで金がかかっていないジャケットなんだけど、
でもとても心に温かいものを感じるハイセンスなジャケットだと思う。


今回のアルバムもいつも通りのU2でとても良かったんだけど、
ただ言わせてもらえれば「いつも通りすぎた」感が否めない。

そりゃ「経験からの歌」ですからね、
確かに今までのU2を経た上で作られたU2らしいアルバムと言える。
安心感があるし「ああ、この辺めっちゃU2やわ~」って思ったりする。

でも反面、冒険心には欠ける。
攻撃力よりも守備力重視のような印象を受けた、そんな一枚でもあった。
ポケモンでいうとクレセリアとかスイクンとかあの辺の雰囲気。
最近俺のポケモンネタがどこまで通じているのか不安です。


しかし、とてもポップ寄りな仕上がりだしメロディアスでもあるので
U2ってどんな感じなんだろう」と初めて聴く人にはお勧めでもある。
今年こそはU2聴いて意識を高めたいという人にはうってつけの一枚だ。

あと買うならば日本盤を買いましょう。
俺はいつものケチな性分と
「どーせ国内盤て言ったって解説があるかくらいの違いやろ」
といういつもの思い込みから輸入盤を買った。

でも後から日本盤の内容見たら
なんと5曲も多いし『Ordinary Love』も入ってるし…。
てかアルバムに『Ordinary Love』入ってなかったんかい…。
ちゃんと確認する事って大事やね…。


ちなみにU2はなかなか来日しないんだけど、
今作のツアーで久々に来日するのだろうか気になるところ。
来日するならば例え東京だろうと俺も一目観てみたいなと思っている。

ただ、俺も嫁も二人とも車をぶつけて凹ませており、
「修理したいけどとりあえず走れるから…ま、いっか♪」的な状況。
資金的にもつらい部分があるので、正直お金は確保しておきたい…。
うぅ…ここでスパッと修理出来ればいいのに、ケチな性分なもんで…。

でもU2来日に備えて車の修理は先送りにしようかなー。
という事でU2、来日をお待ちしております!

あ、安室ちゃんのツアーチケットは取りました。

【採点】
・経験からの歌たち  30点
・攻撃力より防御力  30点
・意識を高めよう   20点
・日本盤が良かった… -1点
79点