脱R論

一般人の一般人による一般人のためのゆるくテキトーな音楽ブログ。ロックから脱却出来るその日まで音楽ネタを中心に書き綴ります。

【Album】三浦大知 / 球体 [2018]


好き嫌い言わずに聴きなさい。

球体(AL+DVD)(スマプラ対応) 球体(AL+DVD)(スマプラ対応)
三浦大知

曲名リスト
1. 序詞
2. 円環
3. 硝子壜
4. 閾
5. 淡水魚
6. テレパシー
7. 飛行船
8. 対岸の掟
9. 嚢
10. 胞子
11. 誘蛾灯
12. 綴化
13. クレーター
14. 独白
15. 世界
16. 朝が来るのではなく、夜が明けるだけ
17. おかえり

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星野源の特別生放送番組『おげんさんといっしょ』にて
おげんさんの次男役として登場した三浦大知。

番組中では『DIVE!』という曲を披露し、
星野源の『アイデア』では振り付けに彼が関わっているらしい。

そこで俺もちょっと気になりだしたってわけですね、三浦大知。
三浦大輔と三浦友和と見間違えやすい三浦大知。
水野真紀と水野美紀と酒井美紀と坂井真紀と三浦大知。


正直、今まで三浦大知については良く知らなかったもんで
「ダンスがカッコイイ人」みたいなすっげーざっくりした印象しか
持ち合わせていなかった。あとは仮面ライダーのEXCITEお兄さん



でもおげんさんを観ていると星野源とかなり仲が良いみたいで、
星野源チェッカーを搭載している俺の目にも自然と彼が止まったのだ。

でもこれが本来の音楽番組の効果だし役割だよね。
「お、ちょっと気になるかも!」という気持ちにさせる事。
人間、ひょんなきっかけから興味が湧き始めるわけですよね。

ちなみに俺は最近ヒプノシスマイクとか結構気になっちゃう感じ。

Fling Posse VS 麻天狼
Fling Posse VS 麻天狼 


さて、というわけで三浦大知が今年発売したアルバム『球体』の話。
三浦大知への正式な入口として俺はこのアルバムをチョイスした。

「いやいや、そこはまずBESTからやろ!」とかいうツッコミは
凄くもっともだと思うんだけどほら俺、人の話とか聞かないからさ。
俺が信じるのは保守速報とリテラと食べログくらいだぞ。


でもこの『球体』ってアルバム、実はちょっと気になってたのね。
何故なら「三浦大知のニューアルバムが本気出しててマジヤバイ」的な
マジの二重表現的なコメント的な情報が少し前から入っておりまして。

そう、この『球体』は音楽愛好家ほどハマると専らの評判だったのよ。
だから『球体』というアルバム自体には目をつけていました。
そこにおげんさんの事もあってじゃあ聴いてみようかなって、ね。


そう、普段はロッキンジャパニーズのフリしたアニメオタクのフリした
めっちゃコンビニでアイス食う人といったイメージの強い俺にとって
三浦大知のようなダンスポップ系アーティストは通常は観測範囲外。

全然嫌いじゃないんだけど、でも語れるほどに聴いた事もないジャンル。
だからお口に合うかしらと思いながらも新作アイスを口にする気分で
「そんなに話題作なら聴いてみるしかない」と聴いてみたところ…


むむむ…むむ…む…難しいなコレ!


え?何これ?
絶対これ一般的に知られているあの三浦大知の音楽とは違うよね?
EXCITEお兄さんじゃないやん!全然EXCITEしてないしむしろCOOL。
うわわわちょっと待っておじさんの頭が逆にHEATしちゃう。


『球体』というタイトル、しかも音楽好きがハマるとか言われてて
あーオザケンっぽいんかなーとか勝手にイメージしてたらそれとも違う。

こりゃアンビエント。ヒーリングミュージック。神秘的BGM。
エキサイトとは対極の位置にある音楽と言っていいだろう。
76分という長丁場でかつ全編を通してコンセプチュアルな構成だ。

その中に分かりやすい「J-POPでぇーす!」な曲は1曲もなく
盛り上がり所を待ちながら聴いたところで空振りのまま終わる作品。
最初の方の『円環』『硝子壜』辺りはやや踊れる感じだけど、
俗に言う分かりやすいダンスチューンはほぼ存在せず難解な作風。


フムフムなるほど、この『球体』って作品名はアレか。
色んなものを包み込む、繋がる、そして廻り続ける、球体という事か。
ジャケットのデザインからしてもう意味深具合がビシビシだかんね。

最初の『序詞』とラストの『おかえり』にはどちらも汽笛が入ってて
場面が繋がっているように聞こえるし、
ところどころに感じる「死」や「別れ」のようなニュアンスとか
そしてその失った時間を取り戻そうとループしてるような表現とか、
そんな数々のメタファーとしての「球体」を冠したタイトル。

うへぇ、自分で書いておいて何言ってるのか分かんねぇ
それくらいにこのアルバムは深淵へと誘う謎めいた作品なのである。


なんだか凄い。凄そうなのは分かる。

しかし、凄いと思った上で言わせてもらうと俺は好きにはなれない
そんな作品だ。76分間この構成は結構キツかったんだよね…。

なんつーか、あるじゃない。凄いのは分かるけど好きじゃないって事。
俺の嫁にとってのダウンタウンがそれ。
凄いだろう事は分かるけど別に好きではないらしい。ちなみに俺は好き。


確かに音楽好きが騒ぐってのは分からんでもない内容だ。
てかめっちゃ好きそう。俺だってその気持ちは分かるよ。
尾田栄一郎を否定して弐瓶勉をオススメしとけば漫画通。そんな気分。

まぁJ-POPやダンスミュージックの流れを踏まえれば異質だし、
邦楽のメジャーシーンでこのジャンルに踏み込んだ三浦大知は凄いよ。
でも鳴っている音楽そのものには特に驚きとかは感じなかったんだよ。
色んな事に挑戦してるのは分かるけど、やっぱ好きな感じではないなぁ。

とは言いつつ良いと思った曲も勿論ある。特に『飛行船』はいいよね。
尺八を起用していい感じに日本ならではのムードを生み出している。
『対岸の掟』も三浦大知のボーカルが綺麗に響き渡っててグッとくる。


しかしこれはねぇ、きっと映像で観るべきなんだろうと思った。
三浦大知のダンスを絡めて観る事でより魅力が伝わるんだろうな。
俺はCDを借りただけでDVDを観ていないので映像を観ていないの…。

でもそんな人のために、今回『球体』のための特設サイトがあるよ。
ここで全身全霊で表現を行う三浦大知クンが観られますよ。

avex.jp


うっへぇ、もう三浦大知のイメージが激変だわ。
完全にアート。全力でこの『球体』の世界の表現を試みている。
もうEXCITEお兄さんだなんて呼べません。
これからはまんまるお兄さんだ。※親しみを込めて


日本的な佇まいを感じるアルバムだけど、
やっぱり洋楽っぽいアプローチだなと思う。
実際、三浦大知本人がかなり洋楽に興味があるようだしね。

でも洋楽を意識しつつも、やっぱり日本人だし
日本のスタイルでやりたいというチャレンジ精神が伺えるのね。
しかもそれを邦楽メジャーシーンで人気を博す三浦大知が
これまでのイメージからシフトチェンジしてまで表現しようとした。

実際に売れたアーティストが一段落した後で、
ややマニアックな表現に走るのは結構あるあるなケースではある。
ベストを出して自分の活動に区切りをつけた三浦大知が、
新たなゾーンに飛び込んだ意欲作として今作は位置づけられるんだろう。
そしてこの作品すらも、彼にとってはまだ中継地点なんだろう。


そんなわけで音楽好きから注目を浴びた今年の話題作『球体』。
何度も言うけど、俺は特に好きにはなれなかった一枚だ。
でもね、これは2018年の邦楽で聴いておくべき一枚でもある。
それくらいにシーンへのインパクトは存在すると言える。

俺もペットサウンズとかオケコンとか、
洋楽の名盤でこれは聴いとけってヤツを色々聴いてきたけど
あくまで個人の感想で言えば好きじゃないって思う事が何度もあった。

でもそれらの作品もとりあえず聴いておいて良いと思う。
個人の好き嫌いとは別にどういうモノが評価されているのかを知る。
それだけでも自分の中の世界が少し広がるような気がするんですよね。


というわけで俺の中のイメージが刷新された三浦大知。
次はちゃんとBESTを聴いてみようかな。たまには人の話も聞こうかな。


【採点】
・2018年邦楽の話題作    30点
・三浦大知のイメチェン  20点
・難解で深淵な世界観   20点
・人の話はほどほどに聴く -3点
67点