脱R論

一般人の一般人による一般人のためのゆるくテキトーな音楽ブログ。ロックから脱却出来るその日まで音楽ネタを中心に書き綴ります。

がんになって鬱になって近況報告と御挨拶。


俺はこの2019年を一生忘れない。


お久しぶりです。
早いものでもう年末です。

ブログもすっかり更新できなくなって、
なんか一部の人から心配されたりして、
心配して下さった方々、本当に有難う御座いました。


なんとか元気です。


抗がん剤は今月中になんとか予定分を飲み切り、
抗うつ剤はまだ続いているけれども
一時期の本当に辛い状況からは一応抜け出しつつあります。

しかし2019年、この平成最後の年で令和最初の年は
俺にとって本当に苦しい1年だった。
おそらく俺の人生史上で最も辛かった1年だったと言える。

思えば今年頭にお腹が痛くなったときからこの状況は始まっていた。
あの時はまさかこんなヤバイ状態になるとは想像もしていなかった。
がんが発覚し抗がん剤が辛くなり鬱になり激動の一年だった。

だからこそ、今年辛かったこの自分の感覚を忘れないように
今日は年末挨拶がてらこのブログに想いを書き留めておきたいと思う。

俺は弱い人間だった。


これまでの俺は愚かなことに自分を「強い人間」だと思っていた。

世間の健康志向だって「ふーん」て感じだったし、
鬱の人の気持ちなんてのも全然分からなかった。

それに周りからもそう思われていた。
いつも元気だしメンタルも強そうだと言われていた。

しかしそんな事は無かったのだ。

たった1年。

たった1年で俺は崩れてしまった。


人間ってのは意外に脆い。
ちょっとした事で壊れてしまう。
今年、その事実を俺は身を以て経験した。
ルフィじゃないけれども「俺は弱い」という事を知った。


がんが発覚したときも最初は意外に冷静だった。
(実は表面的に強がってただけで、
 心の奥底ではダメージを受けていたのかもしれないが)
抗がん剤も最初は「やってやるぜ!」くらいに思っていた。


でも今年の後半から徐々に状況は厳しくなっていった。

抗がん剤がきつくなってきた。
体が動かない。頭も働かない。

そしていつもやっていた事が出来なくなった。
仕事のパフォーマンスもがた落ちし、
休日も家でぐったりしているだけ。


そして秋頃になり、俺は楽しむ事が出来なくなっていた

何をするにも気力が沸かない。
テレビを観ていても何も面白くない。
あれだけ好きだった音楽もマンガも遠ざけてしまった。

そして気分転換も出来なくなった俺は、
ついには心のエネルギーが枯れてしまったのである。

ある日、仕事しようと机についたが手が動かない。
頭が何一つ回らない。あ、これは本気でヤバイ。
上司に泣きながら告げた。「すみません、仕事が出来ません…。」


あんな経験は初めてだった。

趣味って大事だと思う。趣味が無いと心のエネルギーが溜まらない。
人間は心を満たす事で色々なエンジンを動かしていたのだ。

だが楽しむという事を忘れてしまった俺は心がからっぽになった。
完全にエンジンがストップした。これはもう駄目だと思った。
俺は人生で初めて精神科を受診し、抗うつ剤を飲み始めた。


まさか自分が30代前半でがんになるとは思ってなかったし、
まさか自分がうつ病になるなんて事も思ってなかった。

でもそんな事が起きてしまうのが現実なのである。
一寸先は闇。本当に何が起こるか分からない。
そして日常が一変する。それが人生だという事を存分に味わった。


今は抗がん剤も終わったし抗うつ剤の効果もあってか、
気持ちは結構安定してきている。

M-1を観て面白いなと思える程度には回復してきたし、
豆柴の大群を聴いて結構いいなとか思えたりもした。



そう、『りスタート』である。

俺は再起しなければならない。
今はそう思っている。

まだ生きろと言われている気がした。


しかしポジティブに捉えれば、
俺はこの一年で本当に今までに無い経験ができたし
そして自分の生き方についてもよーく考えた。

冗談抜きで俺は死んでいたかもしれないのだ。

色んな人からもそう言われた。
珍しい部位の癌だし、もし発見が遅ければ…
もし手術が失敗していれば…もし別の病院になっていれば…
本当に死んでいたかもしれない。

だから俺は「もう一度命を戴いた」と思うようになった。

お天道様がまだ俺に生きろと言っている。
ならば俺はまだこの現世に生きて何かを遺さなければならない。
一度死んだ身と思えば人生はやり直せる。
今年はそんな事を俺が知るタイミングだったのかもしれない。


そして周りの人への感謝

月並みな言葉だが、こんなにも周りに感謝した年は無かったと思う。
俺がどれだけ恵まれた環境にいたのかを実感する事が出来た。

嫁は俺が癌だと分かった時に号泣してくれた。なんと優しい事か。
娘は俺がうつで辛いときに楽しませてくれた。なんと有り難い事か。
その他にも家族や友人、同僚などみんながとても暖かかった。

俺みたいな人間をこんなにも沢山の人が愛してくれていたと気付き、
そしてそんな事も知らずにのうのうと生きていた自分を恥じた。

GLAYの大名曲『pure soul』に
「共に生きる家族 恋人よ 僕はうまく愛せているのだろうか」
という一節があるが、まさにそんな疑問を自分に問いかけている。



これまで自分へ向けられていた様々な愛情を
確かめる事が出来たのもある意味大きな経験だったと思う。

こんな俺を心配して色々声をかけて下さった皆さん、
本当に有難う御座いました。ゆっくりですが回復していきます。


そして自分自身の事も良く分かった。
自分は自分で思っているほど強い人間では無かったと自覚した。

大した自慢にも無らないが、思い返せば俺は今までの人生で
挫折らしい挫折の経験をした事が無かったのだ。
勉強も仕事も結婚も私生活も大きな悩みも無く生きていた。

つまりは今まではぬるい人生だったのである。
あまちゃんひよっこ半分、青い人間のままここまで来ていた。

だが当然、挫折を経験していない人間ほど壊れやすいもの。
実は弱かった俺は今年あっさりポッキリ折れてしまった。
何も出来ない人間になった。おそらく初めて人生で挫折を味わった。
こんなにも惨めな思いをした事がこれまでなかったのだ。

だから自分を見つめ直す良い機会になったと思う。
挫折は人を成長させるとはよく言ったものである。
俺はまだ本当の意味で大人になんてなれていなかったというわけだ。


あと今まで考えもしていなかった健康についても
随分考えるようになったし、他の病気を抱えている人の気持ちにも
前よりずっと共感できるようになった。

癌患者、うつ病患者、その他苦痛を抱えながら過ごしている人達。
勿論まだまだ思いやりは足りないかもしれないけど、
少なくとも以前よりはずっと気持ちが分かるようになった。

そう、自分には関係ない他人事だと思っている事も
いつ自分に降りかかるか分からないのである。
現に俺はたった一年でこんな目に遭ったのだ。

だがそれなりに若いうちになかなか出来ない経験が出来たと、
そういう風に捉えて今後誰かの役に立てればいいなと思っている。

りスタートしたい。


2019年。平成最後の年であり、令和元年。
俺は一生この年の事を忘れはしないだろう。

そして今は悪い思い出ばかりの年だったけど、
これがいつか懐かしく語れる思い出となれば良いと思っている。


そんなわけで今年は本当に辛くて辛くて辛い1年だったけど
来年は回復・リフレッシュして新たな「りスタート」をしたいです。
まぁ無理はしないで焦らず休養しながら色々やっていきます。

とりあえず1月に個人的に色んなイベントが控えているので、
その時になったらまた書きたいなと思います。

またこのブログも徐々に再起させていきます。
2010年代の音楽の振り返りとかしてみたいですね。

ではでは皆さん、お互い来年は良い年にしましょう!