脱R論

一般人の一般人による一般人のためのゆるくテキトーな音楽ブログ。ロックから脱却出来るその日まで音楽ネタを中心に書き綴ります。

【Album】THE YELLOW MONKEY / 9999 [2019]


あれ?解散してたっけ?

9999 9999
THE YELLOW MONKEY

曲名リスト
1. この恋のかけら
2. 天道虫
3. Love Homme
4. Stars (9999 Version)
5. Breaking The Hide
6. ロザーナ
7. Changes Far Away
8. 砂の塔
9. Balloon Balloon
10. Horizon
11. Titta Titta
12. ALRIGHT
13. I don’t know

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解散・活動休止していたバンドが復活するってのは、
ファンからすれば嬉しいもんなんだけど
ちょっと複雑な気持ちになる事もあるよね。

当時のまま思い出としてパッケージされているが故に
どうしても美化されてしまう部分は必ずあるわけで、
復活したはいいもののその後の活動内容や音楽性によっては
コレジャナイ感」が出てしまう危険性も孕んでいるのだ。


俺はかつてそこまで熱心にイエモンを聴いていたわけでは無かった。

どストライクなのは多分やや上の世代になると思う。
でもやっぱしそれなりにハマって聴いていた時期もあるし、
ベタだけどなんだかんだで『SICKS』は良いアルバムだと思うし。


あと発音的に「ザ」・イエローモンキーじゃなくて
「ジ」・イエローモンキーが正しいんじゃないかと思ったりしてた。
良く分からんけどYELLOWの読みは母音に当たらないってこと??


俺の中ではそんな存在だったイエモンなんだけど
復活のこの曲を聴いたときにやっぱり凄いバンドだと思いましたよ。



こんなにもブランクを感じさせないアーティストも珍しい!!

約15年もの間、新曲のリリースが無かったというのに
この『ALRIGHT』の現役感と言ったら半端ないっす。
準備オーライだってさ。カッコイイなぁ。

俺が初めてこの曲を聴いたのは社用車のラジオの中だったか。
イエモンが戻ってきたんだと実感させられる曲だった。


そして次はMステだったっけな。
復活第一弾シングルの『砂の塔』を聴いたのは。



この艶めかしさ!これもまたイエモンである。

彼らは良く「歌謡ロック」と形容されているけど、
(それは吉井が歌うときの所作が歌謡曲のソレっぽいのもありそう)
この『砂の塔』はまさにその歌謡ロックを感じさせる曲。

ちなみにこれはタワーマンションの住人を揶揄した曲らしい。
だよねー。タワマンとか別に羨ましくもなんともないもんねー。
ホントだよ。ホントだって。別に僻んでないかないもん…。


しかし「歌謡ロック」という言い方は
ニュアンスとしては伝わりやすいけど個人的にあんまり好きじゃない。

”歌謡曲”ってのはロック音楽からすれば古臭くてダサい音楽と言った
攻撃の対象として扱われていたジャンルなわけでして、
だから「歌謡ロック」という表現を見るとさ、
本格ロックではない亜流みたいな印象を持ってしまうんだよね。

多分イエモン自身はそんな事気にしちゃいないんだろうけど、
でもこの表現のせいでロックのうるさ方から敬遠されちゃうとしたら
なんだか居たたまれない気もしてくるのです。

ただ彼らが非常に日本的なロックバンドだというのも事実だ。
だから言うなればイエモンは和製グラムロックってのがしっくりくる。
吉井自身がデヴィッド・ボウイとかクイーンに影響を受けてるし、
グラムロックのエッセンスを邦楽的に解釈したバンドって立ち位置。


さて、そんな復活後も精力的に活動を続けるイエモン。
もうホントに解散期間があったのかってレベルだ。

実はみんな解散してたって勘違いしてただけで、
本当は活動してたんじゃないかとすら思えてきた。
これってつまり日本全員がマンデラ効果にかかっていた疑惑。


そして満を持して発売されたのが今回のアルバム『9999』。
銀河鉄道ならぬ「フォーナイン」と読むらしい。



前述のようなかつてのイエモンらしい曲もあれば、
やはりちょっと変わったかな、と思わせる曲もある。
そこまで熱心なリスナーじゃなかった俺もその辺の匂いは感じた。

というか吉井ソロのYOSHII LOVINSONっぽさがあるなー。
YOSHII LOVINSONもそんなに聴いていたわけじゃないけど、
音の鳴り方がややバンドっぽくない曲は吉井ソロ感。



だから『ロザーナ』とか『Stars』とかは
かつてのイエモンとはまた少し違った味わいがあるとも言える。


アルバムの一曲目『この恋のかけら』は
ちょっと落ち着いた大人の雰囲気でスタートする。
前作アルバムのラストナンバーに続くような形を意識したらしい。

そして2曲目は、
このアルバムの中でも重要なポジションと思われる『天道虫』。



福本伸行原作のドラマ『天 天和通りの快男児』の主題歌として
制作されたという背景もあって歌詞に「ざわざわ」が入ってる。

今回のアルバムの中でもストレートなロックンロールナンバーで
歪んだバンドサウンドが俺好みな一曲。
イエモン自身が「歪みにも良い歪みと悪い歪みがある」みたいな
なんかカッチョイイ話をしてたんだけど俺も分かる気がするぜ。

あとこれでテントウムシと読むという事を初めて知った、
自分の教養の無さを思い知らされた一曲。
つーか漢字にするとカッコイイなテントウムシ。中二感が増す。
「てんとう虫のサンバ」も「天道虫のサンバ」にすれば良かったのに。


『Horizon』はややイエモンらしさが抑えられたバラード曲。
垢ぬけた感じがするなと思ってたらこの曲は吉井曲じゃないのね。
でも何度か聴いてたらかの有名な『JAM』っぽく思えてきた。


そしてラストの曲『I don’t know』は
ベースラインから始まるイントロが超クール。



このベースで入るパターンって凄い馴染みがあるんだよなー。
ロックの一つのフォーマットとも言うべきか。
そして途中からギターが切り込んでくるまでが様式美。

といった感じでかなり骨太な内容のアルバムだった。
懐かしくもあり新鮮でもあり旧ファンも新ファンも楽しめそう。
何より衰えを感じさせないってのが本当に素晴らしい。


しかし19年ぶりの復活アルバムとはいえ、
アルバムは全体的に既発曲が多いみたいやねー。

俺は基本的にどのアーティストも単発の曲はほどほどにして
アルバムのタイミングでまとめて聴く事が多いのでいいんだけどさ、
約半数の収録曲が既に公開済みという状況なのは
熱心なファンからすれば物足りなかったりするんじゃないか。


イエモン自身が自分達を「アルバム世代」と言ってて
やっぱりアルバムを作り上げてこそがアーティストという意識で
今回の『9999』にも臨んでいたみたいだけど、
その間に曲を貯め過ぎたようにも捉えられてそう。

新曲が出来たら動画ですぐに公開出来るようになったし
サブスクも台頭してきてアルバムの意味も薄らいでいる昨今、
新曲がこまめにファンに届けられるのは有り難い反面
アルバムをどう構成するのかってのはより難しくなってきてそうだ。


でも復活して現役感をそのままにアルバムを出したイエモンは
本当に凄いバンドだしこのアルバムでイエモンを知った人もいるはず。

これで多少は「イエモン?綾鷹じゃなくて?」と下の世代との
ジェネレーションギャップに苦しまずに済むかもしれない。
そう思うとこのアルバムの意義はなかなか大きい気がしてきた。

俺もこのアルバムを機にまたイエモンを聴き直してみようかな。
何はともあれ復活おめでとうブラブラブラブラ。


【採点】
・イエモン完全復活  50点
・現役感バリバリ   20点
・天道虫の漢字を知る  5点
・毛皮のコートのブルースが聴けてない…
           -1点
74点