脱R論

一般人の一般人による一般人のためのゆるくテキトーな音楽ブログ。ロックから脱却出来るその日まで音楽ネタを中心に書き綴ります。

【Album】RADWIMPS / 天気の子 [2019]


僕も大丈夫になりたい。

天気の子 天気の子
RADWIMPS

曲名リスト
  1. 『天気の子』のテーマ
  2. 優しさの味
  3. K&A 初訪問
  4. 占秘館へようこそ
  5. K&A 入社式
  6. 風たちの声 (Movie edit)
  7. 陽菜、救出
  8. 晴れゆく空
  9. 空の海
 10. 御宅訪問
 11. 初の晴れ女バイト
 12. 祝祭 (Movie edit) feat.三浦透子
 13. 花火大会
 14. 気象神社
 15. 芝公園
 16. 二つの告白
 17. 首都危機
 18. 真夏の雪
 19. 天気の力
 20. 家族の時間
 21. 消えゆく陽菜
 22. 永遠の雲の上
 23. 晴天と喪失
 24. 帆高、逃走~子供達の画策
 25. バイクチェイス
 26. 陽菜と、走る帆高
 27. 愛にできることはまだあるかい (Movie edit)
 28. グランドエスケープ (Movie edit) feat.三浦透子
 29. ふたたびの、雨
 30. 大丈夫 (Movie edit)
 31. 愛にできることはまだあるかい

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いやー、なかなかに大変でした。佐賀県を襲った豪雨。

俺の家の直近は大したこと無かったんだけど、
数キロ先はもう水浸しの大変な状態だった模様。
『天気の子』パワーが現実世界にまで干渉してきたかと驚いたぜ。


そんなわけで『天気の子』のサウンドトラックについてです。
ええ、今回も映画は観てません

『君の名は。』のときもね、映画を観る前にサントラを聴いて
勝手にこのブログでくっちゃべってテキトーにかましてたんですわ。
で、結局観に行ったんですけどね『君の名は。』。

というわけで今回も同様に、映画は観てないけど
サントラだけ聴いた感想を述べるというスタンスです。
純粋な音楽アルバムとしての感想になるのである意味フェアでしょ?


さて、『天気の子』は観てはいないんだけど
サントラだけ聴く限りコレめっちゃ面白そうな感じやん!?

正直サントラの時点では『君の名は。』よりも『天気の子』の方が
かなり格上感がした。それくらいにRADの音楽が良く響いている。

今回の映画で軸となっている曲は
『愛にできることはまだあるかい』だ。



『君の名は。』で言うところの『前前前世』ポジションに該当する曲。
『前前前世』がキャッチーでストレートな楽曲だったのに対し、
今回の曲はしっとりとしていてパンチ力に劣るのは否めない。

しかしだ、『君の名は。』が全然前世とかと関係無い内容なのに、
曲のインパクトであんなに売れちゃった事実に対して、
今回は映画に対してかなり忠実な曲作りをしてそうな雰囲気だ。
映画観てないけどきっとそう。俺には野田洋次郎の気持ちが分かる。


というかね、今更だけどやっぱり『君の名は。』は売れすぎた。
決して悪くは無いんだけど、ジブリのような国民的映画と並んで
評するにはなんかこう足りないものがある気がするんだよなぁ。

映画の要素に色んなものをぶち込んでみました感があって、
エンタメとしては凄い完成度なんだけど
故に大衆娯楽の域を出ないというか突出した何かが無いというか。


しかし『天気の子』は観てないんだけれども
サントラの雰囲気を聴く限りでは『君の名は。』で取りこぼした
何かをちゃんと表現しているような気がしたんですよね。

多分『最終兵器彼女』だったり後は『涼宮ハルヒの憂鬱』とか
そんな匂いを感じる。少女の存在がセカイを左右するんだろ?
まぁこの手のテーマもやり尽くされた感はあるけれど、
でも『君の名は。』よりもサブカル的で俺寄りな気がしている。


そんな期待感を感じさせるアルバムとなっている今作だが、
全体的にはやはり湿っぽい作風だ。さすが天気の子というわけか。
しかし時折『風たちの声』のように晴れ間を見せる曲もあるし、
何よりも『君の名は。』のサントラよりも音楽が洗練されている。

アルバム前半は「サントラっぽい!」と思わせる曲が多いが
後半にかけてマニアックな音作りが増していきシリアスさも増大。
この辺りは映画の展開と同じような進行なんだろうか。


確かに『前前前世』のような分かりやすいキラーチューンは無い。
しかしながら楽曲の解像度がどれも高く鮮やかさでは引けを取らない。

女優の三浦透子さんがボーカルに起用された
主題歌の一つ『グランドエスケープ』の粒度ったら驚きだ。



スーパーカーがやっていたような美麗な音楽、
そして曲のクライマックスでのコーラスワークは圧巻だ。

三浦透子さんの事は良く知らんかったけど、良い歌声だと思う。
もう既に知れ渡った歌手よりもこういった起用をした方が
変な先行イメージも無くて良い効果をもたらす事もあるんやろね。
ちなみに三浦さんは同アルバム内の『祝祭』でも歌っている。


そう、今作の軸となる曲は『愛にできることはまだあるかい』
なんだけど、主題歌は他にも色々あって『大丈夫』もその一つ。



君の「大丈夫」になりたい
「大丈夫」になりたい
君を大丈夫にしたいんじゃない
君にとっての「大丈夫」になりたい

という大丈夫がゲシュタルト崩壊しそうな歌詞が特徴的だ。

ちなみに大丈夫とは語源的には「立派な男子」の事らしい。
だからこれは「君を立派な男子にしたいんじゃなくて、
俺が立派な男子になる!」という語源に忠実な歌詞という事だ。


しかしなんのかんの言ってもやはり今作の中心となる曲は、
『愛にできることはまだあるかい』になるんでしょうけどね。
このアルバムのラストを飾る約7分にも及び壮大なナンバーだ。



耳に残る印象的なこの曲のメロディラインは、
サントラ内の他の曲の中でも何度も出現しており
まさしくこの映画を彩る絶対的存在の楽曲だ。

『前前前世』とはまた違った雰囲気を纏った曲であり、
とにかく歌詞の内容が非常に現代的でかつ映画的である。

愛にできることはまだあるかい
僕にできることはまだあるかい


この問いかけがリフレインのように繰り返される。

曲を聴くだけではほぼ区別はつかないんだけど、
歌詞を見ると「まだあるかい?」とはてながついている部分や
「僕にできることは まだあるかい」とスペースが入ってる部分など
同じ歌詞でも歌われる個所によって微妙にニュアンスの違いがある。

ちなみに個人的に好きなのは

何もない僕たちに なぜ夢を見させたか
終わりある人生に なぜ希望を持たせたか

の部分だ。納得感しかない
まぁそれでも生きてゆかねばならないんだけどね。

そして曲の最後の最後でありアルバムのラストとなるこの部分。

愛の歌も 歌われ尽くした 数多の映画で 語られ尽くした
そんな荒野に 生まれ落ちた僕、君 それでも

愛にできることはまだあるよ
僕にできることはまだあるよ 


これは映画の内容ともリンクするんだろうけど、
それと同時に今回の映画の音楽を担当する事となった
RADWIMPS自身の気持ちを綴ったものでもあるだろう。

愛の歌なんて散々歌われつくした現代。
そしてRADは映画の音楽だって『君の名は。』で既にやってしまった。

そんな中RADがまだ出来ることはあるのか。
その疑問に立ち向かいつつも彼らはこのサントラを完成させたのだ。
その答えが「僕にできることはまだあるよ」なのである。


このサントラは『君の名は。』の時と同様に大ヒットを記録中。
映画の興行も『君の名は。』までは及ばずとも、
150億以上という十分すぎる大ヒットを記録する勢いだとか。

個人的には『君の名は。』よりも良い内容のサントラだった今回。
ただちょっと苦言を呈するなら歌詞がややクドイなと思った事と、
ジャケットは『君の名は。』が良かったかな、という点だ。

いずれにしても映画を観るのが楽しみになるサントラだった。

さて、『君の名は。』の時と同様、結局また観に行くのかな。

どうかな。

答えてよ。


【採点】
・より良いサントラ 30点
・繊細で美しい世界 30点
・俺にできる事は… 20点
・映画は観てない。 -5点
75点